とりあえず、ちょうど1年くらい前にやっていた永遠の0の小説があったのでちょっと読んでみた(映画を見てからの小説なので、大方の話のあらすじとオチを知った前提での読書
小説だけの感想 面白かったけど、かなり「くどい」と感じてしまった。
物語を読んでいるというよりも、同じ事を違う言い回しで何度も何度も刷り込んでくる、なんというか著者の思想を刷り込まれるような書き方。
話は良かったのに妙に気持ち悪い後味になった。
この書き方だとこの著者の本は読みたくないかなー。
海賊になった男とか興味はあったんだけど、読む気が一気にダウンしてしまった。
で、話自体は宮部久蔵を追い求めての群像劇。
ほとんど会話調と戦争の説明で、ちょっとばかし特徴的な書き方。脚本と小説の間みたいな?
群像劇だから同じシーンを違う視点でやるのは仕方ないんだけど、用語説明や戦時の説明なども被っているところが多数。その辺り工夫すればあと100ページは圧縮してもっと纏まった話になったんじゃないかな、と。
あとラストのエピローグを読んで、一気に気分が萎えた。
宮部久蔵は特攻後、爆弾の不発で上半身と下半身が千切れて死亡。甲板の上で丁寧に弔われて水葬される。
これが一番の萎えた理由。
宮部久蔵という架空の人物の話なのに、ここで実際にあった話を持ってくる。
実際にあった話を知らなければ悲哀の感情が動いたりするのだろうが、モデルになった人物の話を知っているとなんか一気にしらけた気分になってしまった。
最後の余韻を残したいがために、そのモデル人物のラストをそこに持ってくるなよ、と。
(モデルになったのは戦艦ミズーリに特攻した石野節雄だと思われる(間違っていたらごめんなさい
そのことがあり、少し気になって調べてたらこの宮部久蔵というキャラ。
実際の零戦パイロットの逸話や特徴的な話を寄せ集めてオマージュさせてできあがったようなキャラ。
他のところから良い成分だけ抽出してみましたてきな?
このこともあり、かなり俗物的なイメージの小説に思えるようになってしまった。
零戦関係の話を知らないor読んだことがなければ、かなり面白いだろう。
零戦関係の話を知っているorある程度本を読んだことがあれば、どこかで読んだ話ばかりで退屈だろう。
知っているか知っていないかでかなり批評が別れる作品になるんじゃないかな-。
ただ、個人的には永遠の0を読むなら
大空のサムライとかをオススメしたいところ。

> 
映画と合わせての感想 面白かったことは面白かったけど、映画の印象がかなり変わってしまった。
新聞記者・新聞社を猛烈に批判する老人のシーン、無駄にコンパに言って特攻をテロリストと煽る友人たちのオリジナルシーン、米軍側からの視点のカットなどなど、
重要シーンが丸ごとカットされて無駄にオリジナルシーンに置き換えられてる罠。
新聞社批判はスポンサーの面から仕方がなかったかも知れないが、あそこはカットしてはいけないシーンのひとつだったはず...
あとラストの宮部が特攻で突っ込むシーン、映画では意味深な笑みを浮かべて突っ込んだがアレ原作にはないじゃん。あの笑みの意味には考えさせられ、その解答を知りたくて原作を読んだのにアレがオリジナルシーンだったとはこれいかに。